キルケが言うことには

Yu Akahoshi.ゼロテラの代表社員/脚本家・演出家

『アイドル♂怪盗レオノワール』終演のご挨拶+創作過程のメモ。【長文】

こんにちは。赤星ユウです。

2月22日(水)~27日(月)までシアターグリーンBIG TREE THEATERにてレティクル東京座の本公演『アイドル♂怪盗レオノワール』を上演してました。

無事終演しました!1866名のお客様にご来場頂きました!ありがとうございました!

 

劇団としても初の試みが多い公演でした。

結成五周年目の公演、キャパの大きい劇場での公演、指定席、事前入金制のチケット、ダブルキャスト…などなど。

でも関係者の皆さんや、何よりお客様に支えて頂き無事終演することが出来ました。

課題は山積みですが、精進していこうと思います。

今後ともレティクル東京座をよろしくお願い致します。

 

さて。以下は公演についての色々をつらつら書き綴ります!

公演というか、『アイドル♂怪盗レオノワール』創作過程の色々…って感じ。

なかなかこういうものを書く機会も場所もないので…メモ書きに近いものですが。ゼヒゼヒ御覧ください。

ネタバレ注意!です!あとかなり素に近い感じで色々語ってるので、注意です。エロ同人について少し語ってたりするので、苦手な方は要注意です。

 

 

-----キリトリ-----

 

『アイドル♂怪盗レオノワール』の構想は2016年3月に上演した前回公演『昴のテルミニロード』上演中にはもうありました。

「冴えない主人公が魔法のチカラでかっこいい青年に変身、変身する時には妖精が居て、普段は人形の姿してて、変身する時に主人公のテーマみたいなギター曲が掛かって、一旦ホッ●リミットみたいな格好になってから入れ替わる」というかなり具体的な演出イメージがありました。

変身する時なんでホッ●リミットになるかというと…完全に変身シーンのイメージで…普通は変身する女の子が一旦全裸になって光的なもので隠されて新しい衣裳になるじゃないですか。だから今回も本当は全裸にしたかった。でも演劇だから、出来なかった。光で完全に隠れないしね…結果アレになったって感じです。

 

さて。こんな感じの構想をしていた2016年3月当初、赤星は「アイドルもの」なアニメなどを面白い~と観てました。うたプリとかキンプリとか。

だからタイトルを『アイドル♂怪盗レオノワール』にして、作品自体ももっとアイドル的な感じに寄せようと思ってたのですが、その後すぐになんと「アメコミヒーロー映画」にハマってしまったのです。そう、アイアンマンです。MARVELです。以降一気にMARVEL映画を観て完全に脳内が「アメコミ」「ヒーロー」になってしまいました。

そんな赤星の脳内の流行りを一手に引き受けたのが『アイドル♂怪盗レオノワール』でした。途中から自分でも「アイドル…?アイドルって何だ…?」「レオノワールってヒーローなのでは…?」「タイトル…『ヒーロー♂怪盗レオノワール』の方がいいのでは…?」と錯乱してたのですが、劇中でミルヒくんとラッテちゃんが言ってましたね。

「ラッテちゃん!アイドルって、何だろう?」

「え、ひとを笑顔にするような、存在、かな。」

そうだ!ひとを笑顔にするような主人公ならそれはもうアイドルなんだ!アイドル♂怪盗なんだ!という自己暗示。

あとidolって偶像って意味もあるので、やはりピッタリだと思いました。偶像♂怪盗レオノワール。

 

タイトルの♂マークですが、何でついてるかっていうと、『アイドル怪盗レオノワール』だと、パッと見てレオノワールが女の子だと勘違いされちゃうかな、と思ったからです。アイドルって字面だけだと、女の子を先行してイメージしちゃうかなと思って。主人公は男の子で、熱い少年漫画的な話にするぞ、というのが伝わればいいなと思って『アイドル♂怪盗レオノワール』というタイトルになりました。頭が煮えてたとしか思えないタイトル

レオノワール」というのは造語で、Leo+noirレオノワール。レオは「獅子・ライオン」、ノワールはフランス語で「黒・正体不明・不正・暗黒」といった意味。ノワールって語源にこだわって、レオノワールのシャツは黒にしたりしてます、あまり見えないけどね。対立するウルフズベインのシャツは白。

何でアイドルものとヒーローものと魔法青年モノとさらに怪盗モノを混ぜたのかというと、全部全部好きだったから!怪盗は怪盗ジョーカーってアニメにハマってた(る)から!怪盗ジョーカーってアニメはめちゃくちゃ面白いので本当に皆に観てほしい!どのキャラもとっても魅力的ですが赤星はシャドウジョーカーってキャラが一番好きです!ウルフズベインの元ネタ

今回感想でいっぱい「ニチアサ」というワードを頂いたのですが、実は赤星はニチアサを見たことがありません。赤星は朝は基本的に寝てる子供だったので…昼~夕方に起きる子供だったので…大人になってからも朝は基本的に寝てます…。

その代わり、深夜に起きてる子供でしたから、深夜アニメはいっぱい観てました!観てます!あとネット配信が流行り出してからは色々な作品を時間帯関係なく観れたのでかなり色々影響は受けました!

自分的にはやはりガイナックスとかTRIGGERとか中島かずきが好きなので、今回は変身モノ+熱い少年漫画モノ+ちょっとえっち、ということで「グレンラガン」「キルラキル」「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」「宇宙パトロールルル子」辺りに多大な影響を受けてます。というか、今作だけでなくて、これらにはいつも結構影響を受けてるのですけど。

アイキャッチ演出はグレンラガンアイキャッチのオマージュです!ローゥローゥファイザパゥワァ↑↑

他にも子供の時に観てた夕方~夜頃のアニメ!「コレクター・ユイ」「セーラームーン」「赤ずきんチャチャ」「キューティーハニー」…ここでは書ききれない程いっぱいの夢溢れる作品たちにも影響を受けてますね。

あと最近のものだと「ニンジャスレイヤー」とか。フェイロン=ワンは完全に忍殺のラオモト・カンをイメージして書きました。ラオモトの周りのオイランはアイドル♀コンパニオン三人娘なイメージ。どーぞどすえ。

あとあまり伝わってないかもしれませんが、ファントムたちが契約者たちを変身させる時、「一瞬エロい顔をしてほしい」と演出リクエストをしました。エロい顔というか…こう変身させる時にこう一瞬…何かを出すみたいな…アアッ…みたいな……うーんコレクター・ユイの変身シーンの動画観て!ってキャストに言いました。翌日ちゃんと観てくれて、稽古でやってくれて、それが完璧で、よしこれでいこう!ってなりました。

演劇での一瞬の表情の演出は難しいんですけどね…アニメとかだとアップでそこだけ抜けるからやりようがあるけど。ほぼほぼ自己満足的な演出だと思うけど、やれて楽しかった。

そう、今回現場でいっぱい「もっとエロ同人みたいにやってほしい!」ってリクエストをいっぱいしました。ここでこんな話するなよって感じなんですけど、赤星はエロ同人が大好きなんです…男性向けも女性向けもすき!

特に好きなのが、さっきエロ同人が好きって言いましたが、「全然エロシーンじゃないのにエロ同人みたいになってる」っていうシーンだったり見せ方だったり構成だったりシチュエーションが、大好きなのです!

先述したコレクター・ユイの変身シーンだって、全然エロいシーンじゃないのに、普通の変身シーンなのにちょっとエロい顔してる…っていうのが当時からすごくツボで。性癖の歪み

キルラキルのやけに露出度が高い変身後の衣裳だったりとかも。

エロいことをそのままエロいこととしてやるより、全然エロじゃないシーンをエロい感じでやる方が何かこう…グッとくるんです…昔から…。それと同じベクトルで、露出度が高い格好を登場人物がしてたとしても、本人は全く気にしてないって見せ方の方が好きです。その方が健全にエロくなるから。不健全なエロも好きっちゃ好きですが、健全なエロで見せたいところはそこら辺、すごく気を遣ってます。だから露出度の高い?タイガーリリィもあの格好だけど一切恥ずかしがるシーンは入れなかったんですね。主人公のカナメにも一切変身シーンに関して恥ずかしがる描写は入れさせませんでした。アタルには個人的趣味で恥ずかしがらせましたが。

 

話があちこち飛んでしまうのですが、今作『アイドル♂怪盗レオノワール』はこの話の前の話(アイドル♂怪盗レオノワール ZERO)や続き(アイドル♂怪盗レオノワール 2)が広がっていくような作品になればいいなと思って作りました。

その中心にあるのが作中で出てきた「ファントムシリーズ」という宇宙の妖精たちの存在。

主人公・カナメにはファントム・ゼクスという妖精が、主人公の相棒ヒロインポジのシオリにはファントム・ノインという妖精が、主人公のライバルポジのアタルにはファントム・アハトという妖精が、主人公と敵対するフェイロンには実はファントム・アインという妖精がそれぞれ付いて(憑いて)ましたね。

Twitterでも少し触れたのですが、ファントムシリーズはこの世界に全部で12体いる、って設定です。ファントム・アインからファントム・ツヴェルフまでいます。今作では1・6・8・9しか出てませんが、他のファントムもきっと何処かに…いる筈。

劇中でも少し語られてますが、虚無から宇宙が生まれて、宇宙から☆が生まれて、☆が生んだのがファントムシリーズという設定です。概念的な話ですね。

彼らは宇宙の妖精。父たる宇宙(そら)の元からやって来て、父たる宇宙(そら)の元にかえっていきます。Twitterでも少し触れましたが、この世界には「母なる海」という概念も存在してますが、それはまた別のお話。といった感じ。

ニンゲンに「ファントム粒子」という魔法のチカラを宿し、なりたい自分になるチカラを与える存在。なりたい自分っていうのもわりとふわっとした概念ですが…劇中でいうところのレオノワールとかウルフズベインとかタイガーリリィとかフェイロン=ワンとかですね。

「ファントム粒子」は子供が生まれた瞬間にその子供に引き継がれるという設定です。契約者が子供を作らず死んだ場合、ファントムは父たる宇宙にかえるという設定。(まあでもすぐにかえるワケじゃなくて、なんか多分少しの猶予期間があって、その間に他の人と契約出来ればその人の所へ行くんじゃないかな、ざっくりですが。アインがフェイロンの前に誰と契約してたかとかはご想像にお任せします♂)

父たる宇宙にかえるということは、ファントムは一番避けたい。だから「ファントム粒子」はあらすじにも書いてありますが、「人々の心を魅了し惑わす魔法のチカラ」なんです。ファントム粒子によって変身した姿は、カッコよかったり可愛かったりして、人々の心を魅了し惑わす。だから人と人を引き寄せて、子供を作らせるためのチカラ。という設定があったりします、特にキャストには言ってなかったんですが。

ファントム自身はこれらのことは基本的に意識してません。たまに気付くファントムも。父たる宇宙にかえりたくない、というのも本能的なもので、何故、ということを意識してるファントムは少ない。

本編の話にもなりますが、ファントム・アインは一番最初に作られたファントムなので、色々なことに気付いてたって設定です。それで、アインが気付いたことは一切間違いがないって設定です。

ファントムはニンゲンのことがよくわからない、ニンゲンを知りたい、といった感じの描写を本編で随所で描きました。ファントムという存在は思考回路を持たずに生まれてきて、それを知るためにニンゲンに寄生している「未完成の存在」。何代にも渡ってニンゲンを知り、思考回路を得て、いずれ「完璧な存在」になるためにニンゲンと共に過ごしている存在です。概念的な話。それを意識出来てるファントムは少なく、本能のところに何となく刻まれてるもの、といった感じですが。

この「完璧な存在」というのは、実はニンゲンにとっては邪悪な存在で、アインが劇中で「ファントムにはニンゲンの運命を歪ませるチカラがある、ニンゲンの運命が歪めばセカイも呼応し歪んでいく、セカイを歪ませることこそファントムの使命」と言って、ゼクスはそれを拒絶していましたが、実はアインの言ってることは一切間違ってないのです。

アインは一番目につくられたので、他のファントムより先にその真実に気付いたという設定です。ちなみに1~12体ファントムが居る中で、ゼクスはちょうど真ん中の6番目、というのも意味があります。主人公に付くファントムということで、ゼクスが今後どうなっていくのかは不明瞭にしたかったという意図があったりします。ゼクスの味方になったアハトとノインが8番目と9番目という後半の妖精なのも、そういった意図があります。

ファントムというのは、ニンゲンに魔法のチカラを与えてくれる存在ですが、普通のニンゲンがニンゲン以上の力を得るということは、アハトも言ってましたが、運命が歪んでいくということ。というのを書きたかった。たとえば、変身してヒーローにならなければ、身体が傷付くこともない。怖かったり痛かったりすることもない。 変身前と変身後のギャップに苦しむこともない。変身前と変身後の自分、どっちが本当の自分?と自我が揺らぐこともない。

結局のところ、人生というものは、平々凡々に生きていくのが一番の幸せだと個人的には思っているのです。でも、何か強大なチカラを得ることで、平凡な人生から離れていく。ひとが羨むような、輝かしい人生を歩み始める。でもそれは孤独との戦いで、理解をなかなか得られなくなる、特殊な人生の幕開け。というのを表現したかった。

ファントムは、輝かしい人生を与えてくれるけど、それと同時に様々な災厄(孤独・苦悩…etc)も運んでくるもの。といったイメージでした。

だからニンゲンにとって、ファントムは全然「いいもの」じゃない。むしろおそろしいもの。といったものを表現したくて、劇中でも、愛らしかったり好ましいと思える側面の他に、どこかニンゲンと根本的に違うと感じさせたり、怖かったり、不気味だったり、 といった側面を随所に出したりしました。ホラー的な演出も少し。

 

劇中で上手く表現出来てたかはわかりませんが、ファントムというものはニンゲンに寄生していく中で、どんどんニンゲンの自我を侵食していく存在。という設定もあります。

特に主人公のカナメは実はもうだいぶゼクスに侵食されていて、だからレオノワールの一人称がゼクスと同じ「僕」だったり、カナメの性格とかなりかけ離れてて、むしろゼクスに近かったり…してます。

アタルは徐々にアハトに侵食されていってる段階で、ウルフズベインは基本的に「~ですよ」と喋る敬語クールキャラで、これはアタルが思う理想の姿(クールでかっこいい姿)なのですが、感情が揺さぶられるとアハトの暴力性に侵食されて相手の呼び方が「テメェ」になったり傘で変身前のカナメを殴ったりと暴力的になります。劇中ではその後ちゃんと元のクールキャラに戻りましたが、アタル(ウルフズベイン)も時間が経てば今のクールキャラからアハトに似た暴力的な性格になっていきます。

シオリは一番浸食が浅くて、全くノインのぽんやりした性格が出てません。というかシオリは本当に心身共に強い子って設定で、カナメやアタルの理想の姿が身長から顔から何から何まで別人になってしまったのとは逆に、一応自分の原型を最も残してます。役者も変身前と変身後と同じだし。

カナメやアタルは自分に自信がないから別人レベルで変身後の姿が変わるけど、シオリは自分に自信がないワケじゃなくて、ただひたすらもっと強くなりたい!と想ってタイガーリリィになってるのであんな感じ…といった設定でした。とにかく自分の意思が強いので、ノインの侵食が最も遅い。って設定です。ただ食い止められるものでもないので、緩やかにぽんやりしていくと思います。シオリにとっては、ぽんやりするっていうのは多分最も嫌なことなんじゃないかなと思いますけど。

フェイロンはみりゅーという子供が生まれた後にアインに目を付けられて契約したので、子供が居るけどファントムのチカラを得ました。実はアイドル♂総裁だったって話だったんですが、フェイロンも自分に自信がないワケではないので、見た目は全く変わりませんでした。フェイロンはシーニー出身ですが生まれてすぐに日本にやって来て燻っていた人で、外国人だから差別されたりして、自分はこんな所でこんな惨めな気持ちになるような存在じゃないのに…クソッ…クソッ…と思ってたところで美巳子と出会い、恋をして子供も出来て結婚して…これから妻と娘のために頑張るんだ!妻と娘に愛されていればそれで幸せ。と思ってたところに、アインに野心や才能を見抜かれてアインと契約し、本編みたいな感じになっていったっていう。

余談ですがフェイロンは美巳子を高3で孕ませて結果美巳子は高校退學しましたがフェイロンはちゃっかりそのまま高校卒業してるので、わりとどうしようもない人間だと思います。でも人間らしいよね。

実際のフェイロンは結構大人しい性格ですが、アインに侵食されて一人称も「オレ様」になって傲慢な感じになってました。アインが離れてからは元の大人しい感じに戻りましたが。時々現れる寂しがりな面は本人の本質って設定です。

ファントム・アイン自体は基本的に一人称オレ様で傲慢な感じの設定でしたが、1番目につくられてかなり永い間稼働して、多くのニンゲンを見続けていたので、どんどん自我が揺らいでいるって設定でした。だから人形時は口調が違ったり、エーステに化けている時は全然違ったキャラを演じてたり、エーステからアインになった当初も口調が定まってなかったり…といった感じでした。「完璧な存在」というものに一番近かったんでしょうね。個ではなく概念になりかけてたというイメージ。

ちなみにファントムというものはニンゲンと組んでる時が一番チカラが発揮できるので、だからアインもフェイロンを棄てた時に次の契約者を求めてました。里沙・ラッテと失敗しましたが。アインは傲慢なのでニンゲンと組まなくても6番目のゼクスくらい倒せると思ってたけど、ニンゲンと組んでアップデートしたゼクスに負ける。ゼクスが「ジブン自身の運命を歪めるチカラに呑み込まれた」とアインを評してましたが、アインがゼクスに負けた理由は、前者と後者の二つの理由があったという感じ。だから多分里沙かラッテと組むのにアインが成功してたら、ゼクスレオノワールは負けてたんじゃないかな。

 

ファントムはなりたい自分にさせてくれるけど、それは今のナチュラルな自分を棄てて全く新しい自分になるということ。それは自然なものではなく、歪なものである…といった設定があります。自然なものではないから、世の大量の人間の中から突出出来るんだと思いますけど。

ゼクス自身は劇中でアインを否定し、自分の真実は自分で見付ける!ニンゲンと一緒に共存していくんだ!と結論を出していましたが、実際のところアインが言ってたことは全て正しく、そしてゼクスはカナメの自我をどんどん侵食していってるという事実があるので、ゼクスがニンゲンと本当の意味で共存できるのかはわからない…といったラストになってます。

 

すげー上の方にも書きましたが、「レオノワール」の「ノワール」が暗黒といった意味が含まれてる。というのも、『アイドル♂怪盗レオノワール 2』がもしあったら、レオノワールが暗黒面に落ちる可能性がある、というのを示唆したいなと思って付けました。2はね!演劇で2はね!なかなかないと思うけどね!やりたいっちゃやりたいけどね!

2で暗黒面に落ちるという構成、私が大好きなアイアンマンへのオマージュでもある。アイアンマンも2で、アイアンマンになるためのパワー源が人体にどんどん悪影響を与えていて主人公がそれで失墜するって感じですからね。カナメたちとファントムの関係性は、それのオマージュでもあったり。ということはレオノワール3では「さらば、ファントム」ってする流れですね。アイアンマン3では最後パワードスーツを全て破壊して「これが私だ」ってなって終わりますから。まあその後アベンジャーズっていうヒーロー大集合映画があるから何事もなくパワードスーツが復活するんですけどね。そしてそれが原因でその後ヒロインと険悪になって別居する。これはレオノワールも最後さらばってした後劇団十周年記念公演で色々な公演の主人公たちが入り乱れるお祭り公演であっさり復活しますよ。そして夾子と別れる。(別れない)

 

『アイドル♂怪盗レオノワール』はかなりライトめでハッピーな感じに仕上げましたが、実は根本的には結構暗い話…だったりします。あと未来が不明瞭だったりします。

だからこそ観てる人に結末を委ねているので、特に公式から絶対こうなる!と明言する気はなくて、自由に想像して楽しんで頂けると…!

 

キャッチコピーの「ひとは、かわれる!(かわれない)」ですが、これには色々意味があります。

 

人は、代われる!(代われない)

人は、換われる!(換われない)

…カナメたちが変身出来ること、作中でカナメが変身出来なくなったり登場人物の自我が揺らいでいくことを示唆している。

 

人は、飼われる!(飼われない)

人は、買われる!(買われない)

人は、替われる!(替われない)

…テーマがディストピア社会だったので。支配される・されない、など。移ろう支配権なども。

 

人は、変われる!(変われない)

…登場人物たちが成長していくこと、反対に、本質が何も変わらないということを示唆。カナメは今後成長できるのか?ゼクスは本当にニンゲンと共存できるのか?などなど、ラストに提起できるように。

 

などなど。

人は、かわれる!(かわれない) といったキャッチコピーで、さらに作品に深みが増せばいいなと思って、作りました。

 

ここまでバーッと色々長々と書き連ねてしまいましたが、以下、今作の創作の際の小ネタなどを箇条書きでシンプルにまとめてました!何個かTwitterでも言ったのが混ざってます!

 

 

・カナメの名前の由来は「要(かなめ)」主人公なので。アタルは「中(あたる)」カナメと呼応するような中心的な名前がよくて。シオリは「栞(しおり)」物語の随所に挟まっていくようなイメージ。登場人物の名字は動物モチーフだったりそうじゃなかったり。

・夾子の「夾(きょう)」は、ものの間に入り混じるといった意味。ヒロインなので、様々な勢力の間を行き来するため。みりゅーは美龍という意味もあるけど、フランス語のmilieu(ミリュー)が由来。意味は中間。敵と味方の間的な意味で。

・トドメとダンは「留(トド)めと断(ダン)」対照的な名前にしたくて。

・ヤンシャ、ユエシャ、シンシャはそれぞれ陽蛇、月蛇、星蛇といった漢字表記。蛇は中国語読みだと(多分)シュアといった感じだけど、カタカナに寄せて今の形に。美「巳」子の代わりといった意味で。蛇が神格化したものが龍と言われているので、そういった面でも関係性を示したかった。

・夾子というヒロインは、戯曲上だと全く女性として魅力的ではない(と思う)。かっこいい場面もないし、魅力をアピールするシチュエーションもない。特別なチカラもないし、敵にさらわれたりしてるだけ。だから夾子は可愛い役者が可愛く演じないと主人公やライバルが何でコイツに惚れてるのか分からない、全く説得力がないキャラだ、と稽古中に演じる青海さんにひたすら言い続けた。青海さんが夾子を可愛く魅力的に演じてくれないと全くこの話全体に説得力がなくなると思った。

・今回創作史上初めて「四天王」という存在を出せて楽しかった。ずっとやってみたかったんだよね。また四天王ってモチーフはやってみたいですね、今度は紅一点の女の子とかも入れてみたい。

・エーステって語源は調べればすぐ出てきちゃうし多分キャラ発表の段階で調べた人はもう話の展開とか分かっちゃうかもなって感じだったんですけど…ドイツ語のersteですね。一つめ。ドイツ語発音だとエーアステみたいな感じですけど。エヴァンゲリオンでアスカが量産機を倒す時に一体目を倒して「エーステ!」って言ってる場面がカッコイイなあと思ってて。フェイロン=ワンのワンは「王」ですが、数字のワン(1)も重なってていいなと思って。キャラとか用語の名前に色々な意味を重複させるのが好きなんですよね。

・今回、作詞の時、世界観がいつもと違って近未来で普段私たちが過ごしている世界と差異があまり無かったので、フランクな言葉づかいで作詞出来たのが新鮮で楽しかったです。Twitterでも気付いてた方が居たのですが、OP『Leonoir!』の「何にもならない呟きは、の呟きってTwitterなのでは?」とのことですが、その通りです。Twitterをイメージして書きました。あと2番の「6つ目のアイで暴いて」は愛じゃなくてIなイメージでした、自分、みたいな。余談ですが、ファントムたちの衣裳にはローマ数字でそれぞれの数字が書いてありますが、アインの数字は「Ⅰ」で、そこでも自分とか自我とかいうのと意味を重ねたりしてました。

・ラッテちゃんが途中で赤い旗持って絵画のようなポーズをキメるところがありますが、あれは有名なドラクロワ作『民衆を導く自由の女神』が元ネタです。赤星は大学でこの絵について少しだけ詳しく学びましたが、その時の感想は「真ん中の赤い旗持ってるのってフランス民が思うフランスの擬人化なのかあ。自国を女性に擬人化するってすごいなあ」でした。余談ですがイタリアでも各州を女神に擬人化してたりとかするし、自分たちを女神に擬人化するのってスタンダードなんでしょうね。

・カナメが「俺は…マングローブだ」と自分のことを評しますが、何でマングローブって単語なのかっていうと、完全に赤星が普段生きてる中で印象に残ってた単語がマングローブで、その理由はまた大学時代に遡りまして、「日本がエビを食べたいと思う度に発展途上国のアマゾンの中にひっそりと生い茂るマングローブがエビを育てるために刈り取られていく(マングローブが刈り取られた土地はあとはただ枯れていくだけ)」っていうことを少し勉強してて、何かその情景が印象に残ってて、今回台詞の中に取り入れてみました。エビ云々は本編に全く関係ないんですけど、何か普段生きてる中で、印象に残ったワードとかを突拍子もなく劇中に取り入れる癖みたいなのは昔からあります。

・毎公演、登場キャラはどこか赤星ユウに似てる人達の集まりで、今回は30名分の赤星ユウって感じなんですけど、今回自分で思う一番赤星に内面が似てるキャラはフェイロン=ワンと終盤のエーステ(ファントム・アイン)かなあと。コメントは割愛。

・本当はもっとカナメ、夾子、シオリ、アタルの四角関係のことについては深く書きたかった。でも上演時間内に収めるためにざっくり削ってしまった…。カナメはシオリには普通に接することが出来るのはシオリを家族と思ってるから。カナメとシオリはいとこで家族同士だけど、その距離感が夾子から見たらより近く見えるし、微笑ましいけど何か少し引っ掛かるといった感じ。シオリはカナメを恋愛的に見てはいないけど家族だったり姉弟子だったりといった視点から見てるので、ある意味特別には見てる。カナメとシオリの関係は独特なので、それがある種の絆にもなっている。(恋愛的なものではないが、他人の恋愛よりも強固な絆ではある)アタルは夾子をめぐってカナメと特別な関係になる。ライバルでもあるし、でも親友。何だかんだ波長の合うシオリとアタルが何となく一緒に居るようになって、今後何か進展しそうな雰囲気を出して物語は終わる。といった感じだったけど、描けたところと描ききれなかった部分がある。全24話のアニメでやりてえな…。

・ファントムのキョウダイ感は結構出したかったですね。というか今作だけじゃなくて、創作の際に「キョウダイ」ってものをモチーフにするのが好きです。自分にとってキョウダイっていうのは、自分に遺伝子が近いけど他人っていう不可思議で見方を変えれば(言葉は悪いが)ある種の気持ち悪いものという存在なので、ファントム間でもそういった「似てるけど何か違う」っていう不思議さとか不気味さみたいなのが相互で出せればいいなあと思って作りました。

・あと自分が演劇を創作する際に毎回多くモチーフとして追及してるのは「魂って何だ?何処にあるんだ?」ってことであったりするので、そういうものをファントムシリーズとかアイドル♀コンパニオンとか人間ではないものが追及していった先、みたいなものが表現出来てたらいいな。人間(魂を持つもの)とそうでないもの(魂を持たないもの)的な…人間賛歌でもあり人間へのアンチテーゼでもある、そんな作品を作り続けていたいな。

・前作『昴のテルミニロード』がかなりシリアスで難しい言葉もいっぱい使ってるダークな劇だったので、その終演後には「もう次は難しい言葉とか何も使わない超ライトでコロコロコミックな作品にするぜよ~」って思って出来たのがコレ。反動的な。だから次からはまた少しずつ難しい言葉を使ったゴリゴリの世界観系のものを作りたいと思ってます。そうしてまたある程度難しい言葉のお芝居を作ったら、反動で今回みたいな作品にまた戻ってくると思います。今回みたいな作品が好きだったって方、その時までお楽しみに。

 

-----キリトリ-----

 

ここまで長々と読んで頂きありがとうございました!

ご来場してくださったお客様、

ご来場は出来なかったけど応援してくださったお客様、

そして関係者の皆様、

改めましてこの度はありがとうございました!

 

今後もレティクル東京座は活動を続けていきますので、よろしくお願い致します!

ひとまず6月24日(土)に彩の国さいたま芸術劇場映像ホールにて『アイドル♂怪盗レオノワール』のDVD発売記念★上映会があるのでまた一緒にレオノワクワクしようず。詳細は春には出すよ!

あと次回公演は9月27日(水)~10月2日(月)にシアターグリーンBIG TREE THEATERでやります。今回と同じ劇場ですね!タイトルは『皇宮陰陽師アノハ』読み方は「こうぐうおんみょうじあのは」内容は近未来陰陽師です。詳細は続報を待ってね!

 

ではでは。

またお会いしませう。

赤星でした!ここまでで約1万2000文字!ヒェッ…。